ぼくを殺すやさしい色
彼らの選択。
彼との約束。
自分の選択に責任を持つこと。
それが、こんなに辛いだなんて。
思ってもみなかった。
この姿で入るのは初めてなのに、見慣れた彼の部屋。
「……………今、思うと」
もう戻らなくちゃいけないことは分かってる。
それでも、少しでも傍に居たくて。
何となく頭を過ぎった言葉を音にする。
「僕が順平君と仲良くなれたのは、君の中に居たからなんだろうね」
何故だろう。
強く、焦がれて止まなかったのは、今、目の前にいる君なのに。
ふと気が付くと、傍にいるのは此処にはいない帽子の彼。
初めて知ることばかりな筈なのに、何処か懐かしくて。
僕が彼を通して君を感じるように。
きっと彼も、僕を通して君を見ているのだと。
同士、或いは好敵手。
そんな言葉が相応しい。
なんて、彼が聞いたら否定されそうだが。
そんな勝手な想像をしていたら、何だか可笑しくなってきて。
自分でも気付かない内に、自嘲的な笑みを浮かべると。
降り注ぐ、君の視線。
「……………俺、別に順平と特別仲が良い訳じゃないけど?」
「……へ?」
今までの思考を打ち砕くかのように、響く、彼の声。
「順平と友達になれたのは、望月自身がそう望んだからだろ」
突き刺さる言の葉。
「俺の所為にされても困る」
優しくはないのに。
優しく響く彼の声。
「………順平君が聞いたら怒るよ?」
「だろうね」
あっさりと肯定され、思わず笑えば。
「ただし、望月に、だけど」
悪戯っぽく、だけど何処か真剣に告げるから。
「……………そうだね」
彼らの選択。
彼との約束。
ボクの選択。
それが、こんなに辛いだなんて。
思ってもみなかった。
初綾主。
大晦日の晩。彼との会話。
流石にこれにはギャグは入れられませんでした(笑)
written
by 名葉